「人気ブログランキング」応援しておくんなまし
「こんにちは。あのォ今度、上の階に越してきた田辺と言います。
よろしくお願いします。これ、詰まらないものですが、使ってください。」
「あら、ご丁寧に。木津です。よろしくゥ。あらァ、かわいいわねェ。
ボク、何年生?うちは子供がいないから、羨ましいわァ。」
「ほら、ちゃんと挨拶しなさい?もう、すみませ〜ん。人見知りするみたいで。
来年から小学生なんです。それで今のうちに、と思って引っ越したんです。」
「ご主人のお仕事かなんかで、こっちへ?」
「はァ、主人はいないんです。離婚したもので…」
「あら、ごめんなさい。悪いこと、聞いちゃったわね。そう、大変ね。
実は私も離婚して、この団地に来たのよ。以前は伏見のほうにいたんだけどね。
アタシ一人だから、いつでも来てちょうだい。そのほうが寂しくないし。
そうそう、もうご飯は食べたの?良かったら、食べていかない?」
「すみませ〜ん、お気遣いいただいて。今日は、買って来てあるんで。
また、お邪魔させていただきます。いい人で、良かったですゥ。
あらためて、伺いますのでよろしく、お願いしますゥ。」
「カンジのいい方で良かったわァ。こちらこそ、よろしくゥ。ボク、ばいばァい。」
「ふう、疲れたァ。これで全部、挨拶は終わったわね。」
「ママァ、おなか空いたァ。ごはん、まだァ?」
「そうね。おなか、空いたね。出前一丁があるから、今から作るね。」
「またァ?ボク、もうラーメンなんか、やだァ。」
「ごめんね。パパが残した借金があるから、我慢して。」
「ねェ、ボクのパパって、どこにいるの?」
「それが分かれば苦労しないわよ。もう、忘れなさい、パパのことなんか。
サァ、できたわよ。熱いからフウフウして食べてね。」
「ママは食べないのォ?」
「いいのよ、全部、食べても。残ったスープちょうだい、ママに…」
「ねェ、ママ。ここは前より、狭いね。ボク、前のほうが良かったなァ。」
「ごめんね。そのうち、頑張って大きなおウチに引っ越そうね。」
「おはようございます。昨日は、どうもォ。」
「あら、おはようございまァす。ボク、よく眠れたかなァ?」
「おばちゃん、おはよォ〜ございマス。」
「あら、賢いわね。どう、今夜、一緒に食べない?おいでよ。」
「…そうなのよ、奥さん。越してきて挨拶は丁寧なんだけど、二人ともガリガリ。
見ていられなくってさァ、ご飯に招待したのよォ。ほっとけないでしょ?
そしたら、しょっちゅう来るのよォ。そう、図に乗ってェ。お茶漬け、食べさすの。
おいしそうに食べるの、その子ったら。あ、ごめんなさい。キャッチみたい…」
「人気ブログランキング」応援しておくんなましあとがき
京都に赴任が決まった時、取引先から脅かされました。
「落語の、ぶぶづけは知ってる?京都の人は、口と腹が違うから気をつけろ。」
赴任して1ヶ月もしない頃、松茸の香り漂うお住まいに訪れました。
狙った訳ではありません。
顧客の希望時間に伺い、質問に答え続け夕食時になってしまったのです。
「今夜は松茸ご飯です。召し上がってください。」
そこで思い出す例の、忠告。失礼なほど断りましたが、結局はゴチ。
2年半の京都赴任で確かに、「ぶぶづけ」は存在します。
思えば千年以上に亘り余所者が悪さをした地、
隣人を簡単に信用しないのも頷けます。
必然、言葉が柔らかくなるわけで。
最後まで、お読みいただきありがとうございました


でも、表と裏がこうも違うと逆に怖いです。
こういうことは京都の人だけじゃないと思ったりしたんですが…。
無いことを願いたい。