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「あなたと随分、言い争ったことを覚えています。
今、紅茶を入れて飲んでいます。そうアッサムを。
あなたもアッサムが好きでしたね。今でも男性的な香りと思っています。
それをあなたが好むものだから、つい反抗したくなった。
ごめんなさいね。
私、あなたがアッサムを好むことが気に入らなかったのです。
あなたはいつも優しかった。気のない癖に、誰にも優しかった。
あなたは受け取る手紙にすべて、返事を書いてあげていましたよね。
私がなぜ、あなたに手紙を書かなかったか、分からないでしょう?
毎日あなたに会えても、あなたの手紙が欲しかった。
自分からは決して書かず、もらった手紙には必ず返事をするあなたが、
憎らしかったのです。実は何度も書いて、渡せないままでした。
覚えていますか?あなたが愛した、太宰治を貶したことを。
太宰治を汚すことは私の、唯一のレジスタンスでした。森茉莉に走ったのも
あなたが読みそうもないから、引きずり込みたかったのです。
ナメクジが這い回るような洗面台を描写、そんな文学をあなたは望まないでしょ?
でも、あなたは読んでくれました。ディテールまで書評を述べてくれました。
それを聞いた夜、部屋で泣いてしまいました。
そう、あなたは優し過ぎます。あの頃、あなたに時間がないこと、知っていました。
ごめんなさい。困らせたかったのです。情けなくて、泣いてしまいました。
あなたがソルジェニーツインに入った時、予感はしていました。
あなたはトルストイ派では、ありません。やっぱり予感は当たりました。
あなたのドストエフスキーに対する傾倒は、当然の流れと思ったのです。
あなたに教えてもらった三島由紀夫のナルシズムと形式主義、まだ許せません。
あなたが卒業して東京に行き私は一人、残された想いでした。
誓った言葉など互いに何もないのに、不思議でした。
もっと不思議なのは、東京にあなたが行った後で、存在に気付いたことです。
今、思えばあなたは、大き過ぎた。私の胸の中で、あなたは今でも成長しています。
もしかすると私たちの時間は、あの時から止まったままなのかも知れません。
あなたに、手紙を書くことにしました。やっと、渡せそうです。
たぶん、あなたは東京でかわいい女性を見つけることでしょう。
私は東京には行けません。こういうのを運命、と言うのでしょうね。
この便箋、覚えていないでしょうね。あなたがくれたものです。
景品でもらったから、とあなたはくれたけど、ずっと使えず持っていたのです。
実は、これを書いているペンもあなたがくれたものです。やっと使える時がきました。
綺麗でしょ?悲しいでしょ?あなたを想ったまま、手紙を書きます。やっと。
「人気ブログランキング」応援しておくんなましあとがき
なぜ、君の愛にボクは気付いてやれなかったのだろう。
いちいち、突っかかる君が苦手だった。
でも不思議と、悪感情は湧かなかった。
ボクにとって本当は、君が大切な存在だったのかもしれない。
最後まで、お読みいただきありがとうございました


おひさしぶりです。しばらくご訪問サボっていましたが
又ご訪問させていただきます。
あわせて空白期間のご投稿も読ませていただきます。
ところで私は太宰治、三島由紀夫、森茉莉みんな好きです。
節操ないですね・・・
又よろしくお願いします。
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