YELLOW SUBMARINE

2008年08月19日

YELLOW SUBMARINE

No.00206

 
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YELLOW SUBMARINE











兵庫県の、とある緩やかな川を漕いで遡ってみた。過日の話である。
どんどん遡り、伴って川幅は狭くなっていった。
やがて両岸の景色は、桃の花ばかりが目に入り、その芳しさと言ったら。
終に水源のようなところにたどり着いたのだが、そこには小さな穴が見えた。

ボートを桃の木にくくりつけて、岸に上がりその穴を目指す。
私がやっと通り抜けることができる穴であったが、その向こうに何があるか?
そこは平野であり、田園であった。小鳥のさえずり、遠くには笑い声さえ。
声につられて歩き出すが、出会った村人は当初、驚きこそすれ歓迎してくれた。

村人たちと話せば、自分が川を遡ってきたことが信じられないようだ。
自分自身、ここの位置関係を理解できぬまま、村人たちに迎え入れられる。
その夜はもてなしの宴、派手さこそないものの特筆すべきは、彼らの笑顔であった。
老若男女、すべてが喜怒哀楽というものの中で、2つをまったく感じさせない。

村長らしき長老が、自分に酒を勧める。梅酒のような甘く、低アルコール度数のそれは
普段、無口な自分をわずかだが、饒舌にさせた。
能弁な長老は、北京オリンピックや大阪桐蔭の甲子園優勝を知らなかった。
TOKIOも知らないし、ほしのあきも知らない。どうやら、テレビがないようである。

ふと、携帯電話を見ると圏外であった。ここは、いったいどこなのだろう。
不審に思われることを恐れ、彼らの概念に身を置くことに決めて、話を聞くことにした。
よくよく聞いてみると、長老を始め幾人かの高齢者は自分と同じ経路で、来たようだ。
市町村合併以前の地名が出てくることで、随分以前のそれを確信した。

昔、「太陽にほえろ!」というドラマを見た話を、老婆が手短にしてくれた。
小声で石原裕次郎は元気か、と尋ねる。即答を控えて、言葉を濁した。
よく見れば老婆であったが、人間の経年変化を感じさせにくい女性であった。
同様、初老以上の村人がいない。しかし明らかに、老人なのであった。

やがて、長老が静かに切り出す。自分に、ここへ住まないか、と言うのだ。
短い時間の中で、随分と心が揺らいだ。身寄りのいない自分に、転居など造作もない。
さっきから、こちらを見ている頭のよさそうな女性は、紛れもなく好みのタイプである。
目が合った時、彼女が近づく。長老の末娘という彼女は、自分を引き止めること、しきり。

自宅に残しているものは、熱帯魚たちとわずかな金銭であった。
頭のいい女性と熱帯魚の重さを、真剣に比べるほど愚かではない自分であったが、
とりあえず一度、帰宅したいと思った。翌日、止めるのも聞かずに村を発つ。
仕事に忙殺され失念していたが、半月後の遡及で、水源へたどり着くことはできなかった。

「黄色い潜水艦」で暮らす、理想郷を描いた音楽である。
夢のある歌詞を、リンゴ・スターがユーモラスに歌い上げる。
隠遁思想から生まれた、陶淵明の散文「桃花源記」は「桃源郷」とも言われる。
逃避願望にも似た曲は、前述の妄想などを生む。どうやら昼寝で、寝汗をかいたようだ。





 
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あとがき
今月はTHE BEATLESについて書いております。
なお、この文章は作者に著作権があり、複製を不許しております。
つきまして内容等、決して他言せぬよう望みます。
身辺整理がついたら、もう一度、川を上ってみようと思いますが、
記事更新が止まっていたら、もう帰宅しない身の上であること、ご理解ください。



 最後まで、お読みいただきありがとうございました













YELLOW SUBMARINE is Posted by freude48 at 08:00 │コメント(14)トラックバック(0)Edit
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YELLOW SUBMARINE…へ、コメント
なんだか、大好きな小説のひとつ、河童を思い出しました(^-^)
ユートピアはユー、トピア。
無い場所なのだから、そんなものは幻だったのよ(*^_^*)
ほらほら、熱帯魚が待ってるわよ、とーちゃん餌くれ〜って(#^.^#)
Posted by のあちゃん at 2008年08月19日 18:41
そういえば
イエローサブマリンって
演歌歌手がカバーしてましたよね?

ポチっときます。
Posted by ミナト at 2008年08月19日 18:43
ブログ紹介の件、ありがとうございました!

川を上っても、必ず帰ってきてくださいね!
(これは必死)

今日もぽち〜
Posted by スタ at 2008年08月19日 18:51
筆者の名前の元にもなっている桃源郷、行ってみたい気もしますが、行ったら、帰ってこれなくなる所なのかも。
Posted by 桃源児 at 2008年08月19日 19:31
桃源郷・・・テレビがなくとも、行ってみたいものです。
行ってみたい、なんて表現からも分かるかもしれませんが、帰ってこれないような場所はイヤですね〜。テーマパーク的なものなら・・・(わがまま)
Posted by たけもと農場の新米 at 2008年08月19日 19:46
桃源郷、行ってみたいものですね。
戻れないことを覚悟してなら行けるのでしょうか?
私も妄想の中で生きてみたい気がします。
Posted by たくたくろ at 2008年08月19日 20:26
そういう場所って、絶対二度とたどり着けないんですよね。
でも、やっぱり熱帯魚を見捨てたら幸せにはなれないと思うな。
Posted by committi at 2008年08月19日 21:29
こんばんわ♪

今日は幻想的なお話ですね。
途中までリアル話かと思って読んでました(笑)
私なら誘われたらどうするかな〜?
案外残っちゃうかも!?(笑)
そんな夢のような世界があるといいですね。
現実はなかなか厳しいですが(笑)

では、また来ます。
Posted by NIKIandNORA☆ at 2008年08月19日 21:56
なんだか夢から覚めて、もう一回見ようと思って
何とか眠ろうとするんだけど、眠れなくて
二度と見られなくなった夢に似てます・・・
チャンスは二度はない
でも、チャンスじゃなかったかも知れない
Posted by ステッピー at 2008年08月19日 22:22
もし私が、桃源郷で暮らすとしたら・・・なんて想像をしてしまいましたよ・・・。
Posted by ふしぎ男 at 2008年08月19日 22:28
一度でいいから行ってみたい桃源郷。
いや、別に仙人になりたいわけじゃないんですがね。なんとなく。
Posted by まー at 2008年08月19日 22:50
冗談でも帰ってこないなんて言わないでくださいね。
行くのは帰ってくるのが前提で行くものです。

コメレスです。
祖父母の方でもやっぱりご先祖様ですから
大事にする気持ちがよいと思いますよ。

応援ポチ!
Posted by いつママ at 2008年08月19日 23:22
いなくなっちゃうんですか(笑)
確かに時の流れに取り残されたところに住むのもいいかもしれませんね^^
Posted by 虎龍 at 2008年08月20日 00:15
携帯の通じない場所って、想像しただけで怖いものですね。

あたし一人で携帯通じないところにいたら、
死んでしまうような気がします。
Posted by ちり at 2008年08月20日 00:47
YELLOW SUBMARINE…へ、コメント(400字以内)
         
 
 
         
コメントのご記入、ありがとうございました