総務部人事課
2008年06月02日
先物取引会社の落ちこぼれ
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No.00129

「ですから、本日中に追い証の500万円を、入れていただかなければ…。」
だいたい、自分は気が弱いんだから客に、そんなこと言いたくないんだ。
でも言わなきゃ、鷹取課長に殴られる。もう、やだ。あんな会社なんか、辞めてやる。
中津十三は最終電車、ドアのガラス部分に額をつけた。
同期の石橋は、上司の覚えめでたく桜井次長や川西部長とも交流があるようだ。
川西部長は、能勢口専務の縁戚で将来の保証もある。必然、石橋の先は明るい。
サラリーマンの出世なんて、運が8割と言うけれど中津には、そう思えなかった。
すべてにおいて自信がなく、目立たない存在でいろんなものが彼を通過していく。
中津は、農村で生まれた。おせっかいな村長がいて、村で生まれる子供へ勝手に
名前を付けるのが恒例であった。その年、最初に生まれた一郎は野球部で活躍した。
歌がうまいサブは、上京していった。頑張っているらしきこと、風の便りに聞く。
サブと3日違いで生まれた芳子も、今じゃテレビに女優で出ている。
年末になって、予定日よりかなり早く生まれた彼の時、村長は随分と酔っていた。
父が名付けを頼みに行くと、なかなか思い浮かばなかったらしい。
う〜ん、う〜んと唸っている間に1升瓶が空になる。「村長ォ」と5回目に呼んだ時、
「今年の赤ん坊は何人目だ?…よし、13番目の十三(じゅうぞう)だ。決まり。」
学年が1つ上の一郎とは仲がいい。よく一緒に遊んだものである。
スポーツ万能、中でも野球が得意な一郎は、子供の頃からエースで4番。
今じゃアメリカに行ったらしいが、何をしているんだか。
比べて、中津は目立たない。スポーツも苦手だし、勉強も得意じゃない。
それでも父は、頑張って大学まで行かせてくれた。何とか卒業できたのち、
先物取引の小さな会社に入った。面接の時の優しさなど、どこへやら。
研修からいきなり、厳しい現実が待っている。合宿とやら、山の中。
朝も早よから、ランニング10km…何のために、こんなこと。
掃除をして並ぶ。ありったけの声で、教官に続いて唱和。「ひとつ、プロは…」
やっと朝食だが、粗食に耐えることも研修なのか。田舎の食事が懐かしい。
授業もロビンズやらケインズ、アダム・スミス、大学の授業と変わりゃしない。
夜になれば、同室の今津が脱走して見つかる。連帯責任だと?
早く仕事を始めたい、と思った中津が甘かった。
同期の石橋のように、あっちを向いたりこっちを向いたりできるもんか。
客も二言目には「騙された。金返せ。」上司に怒鳴られ、時には殴られ蹴られ。
歩合給もほとんど取れず、金が貯まらず疲れが溜まる。
外回りの途中、跨橋の上で走る車を眺めていた。
みんな、同じ方向へ向かってどこへ行くんだ。おまえたちに、疑問はないのか。
欄干にもたれ、随分と時間が経過していることに、気付かないふりをした。
その時、携帯電話が鳴る。ディスプレイを見て、しまう。随分、鳴り続けていた。
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連日投稿させていただいております
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お越しいただけるようになって、嬉しい限りです
このたび、過去掲載分を一ヶ月単位でPDF編集させていただきました
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2008年05月16日
人事部長のおしごと
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No.00112

え〜、今から第1次面接試験をさせていただきます。
4人ずつ入室いただき、合同で行います。10分程度のお時間をご予定ください。
合否連絡を1週間以内に、メール送信させていただきますが
判定基準に対するご質問には、お答え致しかねますのでご理解ください。
合格された方は連絡時に、第2次面接試験のご案内もさせていただきます。
第2次面接試験には健康診断も行いますので、移動も含めて2時間程度の
お時間をいただきます。なお本日の交通費を、お帰りの際にお受け取りください。
では、まず当社の志望理由から、お聞きします…品川さん、どうぞ。
「はい。御社の業績における将来性と、自由闊達な社風に憧れております。」
自由闊達な社風、と言うことですが、どなたからお聞きですか。
「はい。御社の第3営業部に知己が、お世話になっております。」
なるほど、いいところも悪いところもご存知、ということですね。次、大崎さん。
「はい。私の実力が発揮できる企業、と判断し同じく自由闊達な社風を評価します。」
え〜、大崎さんは現在、半導体メーカーで営業をなさっておられますが、
違う分野でもご活躍できる自信は、おありですか。
「はい。物流業界に大変、関心があります。」頼もしいですな。五反田さん、お願いします。
「は、はい。あのあの。御社の成績と自由、自由、自由活発な雰囲気です。」
かけたままで、結構です。肩の力を抜いていただいて、かまいません。
ご自分の言葉で、おっしゃっていただければいいですよ。
おや、五反田さんはMBAを取得されているのですね。ハーバード大学ですか。
「は、は、はい。ち、父の仕事の都合もあり、マシャ、マシャチウ、マシャチューセッチュに
住んでおりまして、私はバイオリンを弾きたかったのですが、父も母も反対しまして。
父は商社に勤めて、母も同じ会社に勤めておりましたが、結婚して退職しまして。
父と母は、ボストン勤務の頃に社内結婚しまして…あの、あの。」
はい、そのへんで結構です。では最後に目黒さん、お願いします。目黒さん、目黒さん。
(おい、起きろよ。おまえの番だよ。おい。)
「ん。はいはい。明るい心、溢れる命、豊かに結ぶ、松本電器…。」
目黒さん、お疲れのご様子ですね。現在は、と…そうそう家電メーカーにお勤めですね。
目黒さん、もう一度お聞きします。現在、強い愛社精神をお持ちのようですが、
当社の志望理由を、お聞かせいただけますか。
「は、はい。失礼しました。御社のロゴマークに惹かれました。何と言いますか、
力がみなぎる、とでも言いましょうか。明るい未来を暗示する、こう、その…。」
友人が人事部長を勤める企業で先日、不祥事が明るみに出た。
業界には、よくあることなのだが褒められたものではないことを、申し添えたい。
常日頃、こんなことをやっているんだろうな、と思い書いてみた。
固有名詞が実在するか、どうか山の狸は知ったこっちゃないのである。
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2008年05月15日
姓
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No.00111

「おい、ヒデ。今度の女は、髪が長いな。おまえ、ベタ惚れらしいな。」
などと、往年のノムさんがささやくらしい。現、野村監督の捕手時代である。
(どこで見られたんだろ…)などと、動揺したバッターが空振りするそうだ。
長島選手だけは、「そうなんですよォ。」と動じずに本塁打を打つ、とも聞いた。
いつも、いい加減な思い付きを、随筆などと御大層なことを言っていると、
「随分、モテるんですね。」などとメールをいただく。
嘘に決まっておろう。若い頃の話は、ほとんど事実だが誤解されると、嬉しいので
また、フィクションでも書こう、と思う。風邪も予兆がないことだし。
適当なことをささやいて、ホラを吹いて、気が付いたら46歳である。
たぶん畳の上では死ねないだろう。カーペットを敷いては、いけない。
畳の上で死ねない、だけでなく家ダニが発生する。剥がそう、剥がそう。
今日くらい、まともな話を試着する。孫にも衣装、ブスにも化粧。えっへん。
10年位前だっただろうか、インターホンが鳴る。出てみると、爽やかなイケメンだ。
まるで昔の自分を彷彿させるような…いかんいかん。
さっき事実を書く、と言ったばかりである。舌の根も保湿状態である。
さても彼がイケメンだったのは間違いない。好感の持てる青年であった。
「今度、隣に越してきたケイです。これは詰まらない物ですが、どうぞ。」
自分は、うっかり「これは、わざわざご丁寧に。エスです。」と答えそうになった。
いただいた物を失礼なく受領し、丁重にお礼を申し上げておいた。
最近は、初対面の挨拶にイニシャルで告げるのか。知らなかった、のである。
後で気付いたのだが、珍しい苗字で「毛井」さん、とおっしゃる。
よかった。うっかり、こちらもエスです、などと答えなくて。
まさかイニシャルってことは、ないはずだ。しかし、同様な経験もおありだろう。
名前で遊んではいけない。その方、固有なのであるから気分が悪い。
ある都銀の課長が、「普通の…ですか。」と顧客の姓、文字を確認してきた。
叱り付けた記憶がある。そんな愚か者は繰り返す統廃合、淘汰されているだろう。
姓に関してのみ、異体字ではない。本人にとって、それがすべてではあるまいか。
「難しい方の…ですか。」と言う弁護士も、顔を洗って出直して来なさい。
顧客に「三文判でいいです。」と言った若い、女性銀行員にあとで教えてあげた。
「認め印、と言ってくださいね。」と…転勤の時に、記念の品をくださった。
悪いのは、上司の教育かも知れない。素直な女性だった。そして、美形だったような。
次世代に、きちんと伝えられるだろうか。見た目は悪くても、美しい心は失いたくない。
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2008年05月13日
日本歴史占い
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No.00109

↑ サムネイル画像ですので、クリックすれば拡大します
日本歴史占い、とやらが巷に流行しているらしい。
自分が人里で暮らしていた5年前は、雑駁なものを含めて情報が過剰であった。
たまに人間界の流行り廃りに、興味が湧くのは成仏していないせいであろう。
この情報も、会ったことのない方々の井戸端会議で、小耳に挟む。
今じゃ欠かせない、点在する井戸は運営者する水道業者がいくつか、あるようだ。
ボルビック、ペリエ、ヤフー、ライブドアとかミクシィ、最近の水は横文字である。
難しいことは分からないから、井戸水の汲み置きを分けてもらうことがある。
今回も、会ったことのない主婦が分けてくれた。今度、お姫様抱っこしてあげたい。
狸に野菜を売ってもらい、猿から肉を分けてもらった帰りのことであった。
買い物袋を提げていたのだが、医学用語でエコバッグと、言うらしい。
何でも地球温暖化がどうのこうの、で買い物しても袋がもらえない。
欲しければ金を出せ、と要求されるのが怖くてエコバッグ。みんな揃ってエコバッグ。
そんなものを下げているから、やってみないか、などと誘われたのかも知れない。
普段から、何も考えずに世間を彷徨う自分は言われるとおりに、行動した。
生年月日を入力して、性別を選択。天気がいいから、よく乾く。
狐があんたもやってるね、と話しかける横を、イノシシが駆け抜けた。
別に過去の流行を引きずっている訳ではないが、自分は「狼」らしい。
動物占いは当たるというより、分類した特長の抽出に賛辞を送りたい、と思う。
山奥に転居したのであるから、動物たちが共存してても不思議はなかろう。
肉屋の店主が猿に似ている、かどうかは言及を控えさせていただく。
そもそも、占いとやらは得意ではない。いや、うっとおしいくらいだ。
たまに行くヤフー井戸でも「今日の運勢」とか、書いてある。騙されないぞ。
新聞でも雑誌でも、朝のテレビでも運勢やら、占いやら。結果が悪いと、気が重い。
見なきゃいいから、テレビを見なくなった。視聴率低下は、自分のせいである。
だいたい「うらない」という物をなぜ、買うのだ。アホ、ちゃいます?
しまった、反感を買ってしまった。牛乳を買うのは、忘れたのに。
女性はたいてい、占いを好むものらしい。中年オヤジは、どうでもいい。
占いで家を建てた人もいるし、腹を立てた人もいる。頑張れよ〜!
いつまで流行るのか、日本歴史占いだが自分は「石川五右衛門」と出た。
生年月日で占うから、陰陽道か四柱推命なのか、動物占いと内容は似ている。
次から次へと、よく考え付くものである。感心感心。
サイト、よくよく見れば解説書籍の営業である。頑張れよ〜!
歌舞伎「金門五山桐」では、石川五右衛門が京都・南禅寺の山門で
キセル片手に詠んだらしいが、時代考証に無理があるらしい。
人の話は、そんなもの。笑って聞けば笑みも残る、というもの。
浜の真砂は尽きるとも、世に占いの種は尽きまじ。
「日本歴史占い」
ご興味のある方は、やってみてください
書籍の購入については自分に何ら、利益がないためど〜でもいいです^^
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2008年04月28日
公衆電話
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No.00094

公衆電話に感情なんて、あるものか。
寂しそうに見えるのは、見ている人間が過去を積み残しているからである。
無機質な物なんて時代に用が済めば、処分に困るゴミでしかないのだ。
お前もそうなのだ、よ。電話ボックスに映る自分を見つめながら、つぶやいてみる。
友人Kとアルバイトの話に、なった。夏休みを海に潜ってばかり、で過ごした。
冬こそはバイトがしたい。友人Kは、高校入学前にバイト経験がある。
生活費が欲しかった自分。親に内緒の金が欲しい、友人K。相違に自分は、寛容だ。
どもりながら、経験のある道路舗装会社へ、電話をしてくれた。
承諾を報告、早速にも経験を話し始める。耳を傾ける自分。
友人Kは早くも、毛皮の枚数を数え始めた。どこに狸がいるものやら。
欲しい物なら、何でも買ってもらえるくせに。つい、笑ってしまう。
翌朝の通学途中、横目で見た公衆電話。友人Kが語った経験とやら、想像してみた。
目の覚めるような告白をしたくせに。
何が不満なわけ?言ってくれなきゃ、分からない。
友達なんか、数え切れるもんか。女子も男子もない。俺にとって友達は、友達。
どう、して欲しいの?だから、分からない。同じ公衆電話で、一つが終わった。
3年生の先輩Tが、英語検定の受検を誘う。
何も考えず、先輩と同様に2級と3級を受験。先輩は3級のみ、合格した。
ショックで落ち込んでいるらしい。先輩の友人から、告げられる。
先輩Tの学生寮に、公衆電話から。そんなことで、泣かないでくださいな。
会社の寮からは、電話したくない。聞かれたくないし、10円玉しか使えない。
夜中に100円玉を握り締め、外の公衆電話。電話機の色が違う。
別の人が、使用中。そのへんを歩き回る。100円玉を握ったまま。
3回くらい周囲を徘徊。さながら、不審者であろう。
やっと空いた公衆電話。100円玉を数枚、投入。
「ごめん今、お風呂から出たトコ。あとでもいい?」もういい。
10円玉を入れてから、かければよかった。そのまま寮に戻る気がしない。
手紙をくれていた田舎の後輩に、電話した。はしゃぐ声に、乗り切れない。
営業職は、ポケットベルを鳴らされる。やっと見つけた、公衆電話。
「それなら、既に提出済みです。」よくまァ、これで上司が務まるものだ。
帰社後、伝言ノートに顧客の電話が記録。状況を女子職員に、たずねてみた。
「忙しい、と思って。」気遣いは、ありがたい。援護するのか、邪魔をするのか。
テレホンカードが登場する。胸のポケットには、いつも2枚を携帯した。
1枚でかけて、2枚めは予備で持つ。二枚目だから、ではないのだ。
予備のカードを、帰社後に消しゴム。
メモ代わりにシャープペンシルで、真っ黒にしてしまう。
公衆電話だから大きな声で言えないけれど、好きなんだ。
フォークグループ「かぐや姫」が教えてくれた、気の利いた台詞。
使うチャンスもないままに、時代は携帯電話。
この公衆電話が息を引き取るのが先か、自分が取り壊されるのが先なのか。
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2008年04月25日
農薬空中散布
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No.00091

今、くたくたに疲れてキーボードを叩いている。
決して八つ当たりしているのではなく、これを書いているのだ。
だから手の形はドラえもんではない。ちゃんと開いた手の指でキーを押している。
誰だ。今、体型はドラえもんだろう、と言ったのは?もう口、聞かないからねっ!
20年のサラリーマン生活をリタイヤした今でも、資本主義の中で生きている。
およそ肉体労働など経験しなかった。だから、ドラえもんじゃないんだって。
今では、サラリーマン時代以上に、身体を使わなくなった。
それでもスリムな体型を維持している。知るまい。ふっふっふっ。
紹介で農薬空中散布をされている方に、お会いした。
相棒が必要なのだが、対象が自分ということで読者に理解を求めたい。
初体験なのだが、肝要なのは相性である。信頼がなければ死亡事故さえ、発生しかねない。
恋愛感情など湧かない健康的な、おっさん同士なのだが他のコンビは知らない。
150km離れた出張であった。早朝04:15、ホテルのロビーで集まる。前泊した。
移動して打ち合わせをし、日の出の時刻に作業を開始する。
粉末を地上で散布する風景を先日、目にする機会があった。
畑の両側に渡した大きな風袋から、粉を出す。風で流れて非効率だった。
麦の赤かび病やうどんこ病に対する、農薬であった。
農薬の存在価値について、未熟な知識で論議するつもりはない。
当然、残留農薬が気になるであろうが、少なくとも我が国では研究されている。
第一、 散布する当事者つまり、農業従事者がもっとも被曝しているのである。
無農薬や減農薬、有機栽培に至るまで農業従事者の苦労は、計り知れない。
農薬なんて使わない方が、いいに決まっている。
それなら、虫喰い痕のある野菜と男前野菜、どっちを選ぶ?
病気感染し収穫率が半減、倍の価格でも人は買うのであろうか。
農家の方からキャベツをいただくと、ナメクジが出てくることがある。
自分は丸ごと千切りなんて、したことがない。
あなたは、ナメクジが入っているようなキャベツ、選びますか?
ナメクジも食べないような、美人のキャベツを実は、自分も買っているのだ。
ヘリコプターを操縦するオペレーターがいる。
操縦の集中は、ヘリコプターを見ている。遠いエンドラインなど、見えないのだ。
無線で合図、農薬散布リモコンは相棒の操作、配布地図も携えるのは相棒だ。
対角に移動していくが、歩きにくい草むらの畔もある。移動距離は、かなりのもの。
先に歩いて、畑の状況や障害物を無線で伝達。
家屋や別の農作物とは、散布緩衝地帯を設ける。風向、風力も測定して記録。
3.5m・80kgの機体をトラックへ積み降ろし、何度もしなければいけない。
それらは、オペレーターと二人の手作業である。
生活のためなら、絶対に引き受けない仕事であった。
農業経験もなく、人並みの知識もない自分である。
国内食料依存率の維持に、奮闘されている方々のことを考えれば、
自分の疲労など、取るに足らない。次回は5月1日は、万歩計を持参したい。
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2008年04月19日
ルート2
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No.00085

六甲山を駆け下り、ようやく海が見える。
海を見て育った自分は、海が怖いと思ったことがない。
怖さを知らない、ということは愚かであろう。しかしながら、海のもくずと
消え行くことに、抵抗のない人生を経験できたこと、これも事実である。
神戸市灘区、「六甲口」の交差点手前の標識を撮影してみた。
身長が176cmしかないので、見上げるしかない。
ウルトラセブンみたいに40mほど、身長があれば見上げなくても撮影できた。
でもユニクロの服は着られないだろうな。だから、着替えないのか。
国道2号線は、大阪市から北九州市まで。かなり長い。とても長い。とにかく長い。
30cmの物差し、しかないので今日は計測中止。お茶でも飲もうっと。
大阪市まで、少し南を国道43号線が並行している。
番号設定から分かるように、2番目の国道なのだ。
ヒトヨヒトヨニヒトミゴロとか、
ヒトナミニオゴレヤとか、
フジサンロクオームナクとか、覚えて何か役に立ったのであろうか。
それとも役に立てることが、できなかった人生だったのか。
国道2号線は歓楽街を通過し、一夜一夜に人を見る。
九州を通過する国道3号線沿いの店では、ご馳走してもらえるらしい。
故郷を後に、割り切った二人が東北から、上京するのであろう。
オウムの啼く富士山とは、羊蹄山のことであったか。我慢強いのか、あまり啼かない。
久しぶりに山を降りたら、海が見たくなった。
少しぐらい、寄り道をしたってかまうもんか。自分の人生、寄り道だらけ。
大阪の海は、悲しい色やね。
愚にもつかないことを考えながら、夜の大阪へ向かう。
人がどうして悲しくなったら、海を見つめに来るのか自分は知らない。
長崎から船で神戸を目指した人が、船酔いした話を聞いた。神戸で吐くな。
神戸で、泣いてどうなるのか。捨てられたら、自分が惨めになるのも無理はない。
港町は、やっぱり絵になるのだろう。図画工作は苦手だった。
途中の都合も考えて、43号線でなく2号線を走る黄昏時。
煌びやかなネオンに近づいた、と思えば通り過ぎる。これの繰り返し。
どうやら自分に、華やかな世界は似合わないようだ。
望みもせず、ひっそりと底辺で生きるプロレタリアート。
信じれば信じるほど、裏切られる。世の常なのか、未熟者め。
ひとよひとよにひとみごろ…割り切れない自分が、国道2号線を走っている。
心の嘆き、くだらない世間が見えないように、夜霧が紛らせてくれる。
そろそろ、ライトを点灯しようか。夜霧に今夜も、礼を言いながら。
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2008年04月09日
Langue de chat
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No.00075

親戚に小学生の頃、猫の本を買ってもらった。
小さな本で写真や解説、多種多様な猫が載っている。
もちろん猫にまつわる逸話も、活字に含まれていた。
ウンチク少年の小鼻は、また動く。
マホメットが昼寝をしていたら裾の上、猫も昼寝していたらしい。
先に目を覚ましたマホメットは鋏を持って来させ、裾を切ったそうな。
猫を起こさないマホメットって、何と慈愛に満ちた御仁。
自分は見ていないから、活字を信用することにする。
マホメットが、愛猫の額に手をかざした。
すると、Mの文字が浮かび上がったらしい。
我が国にも絡繰手妻を用いる者なら多数、存在するが。
同席していなかったから、活字を疑うつもりもない。
ザラザラした感触が猫の舌のようだ、と言う。
発祥地なのだろう。フランス語である。
Langue de chat…直訳だ。英語なら tongue of cat なのであろう。
ドイツ語では zunge der katze だろうか。イタリアでは発音しない方がいい。
冷蔵庫にバターが残っていた。無塩とか減塩とか、見てもいない。
ボウルに取り、室温で溶かす。
白砂糖と生玉子の白身を混ぜた。
薄力粉も混ぜてみる。ふるったりしていない。プロじゃねえんだ。
泡立て器で混ぜたら、腕が痛くなった。
しばらくしたら、とんでもないことが起こる。
混ぜているものが、すべて泡立て器の中に入ってしまった。
トントン、振れば落ちてきた。まったく何をやっているんだか。
2年位前、一度だけ作ってみたことがある。
もっと硬かったような…
どうでもいいから、気にしない。
小さなポリ袋の角を切る。
電子レンジの皿の上、クッキングシートを敷いてみた。
ポリ袋から搾り出す。
これってホイップクリームみたい、と思いながら。
小さく、小さく、いくつも搾ったら、皿がちょうどいっぱいになった。
自分の電子レンジには、オートメニューが付いていた。
文明開化である。たぶん明治以降に作られたものであろう。
庶民に妬まれるといけないから、このへんにしておく。
クッキーというボタン、スタートのボタンを押す。
しばらく本を読んでいると、思い出したのである。
グラニュー糖があったのだ。後の祭り、せいぜい騒ぐがよかろう。
電子レンジが、出来上がりを知らせる。忠実なヤツだ。
お、まあまあじゃないか。
夜空、ニコニコバッジの口みたいな上弦の月が出ている。
侘しい独居中年、46歳の誕生日を月だけが微笑んでくれた。
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2008年04月05日
甲子園
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No.00071

昨日、第80回センバツ高校野球大会が幕を閉じた。
まず出場選手全員に拍手を送りたい。
彼らの誰もが、その3倍近くの時間を生きてきた自分の総量より頑張ったはずである。
そして栄光の沖縄尚学高等学校選手たちよ。この日は一生、忘れないはずだ。
彼らに望む。感謝して欲しい。君たちが頑張れた裏で、支えてくれた人たちを。
高校3年、暖かくなってきた頃であっただろうか。友人の彼女が、ブラスバンド部にいた。
友人と彼女、二人で迫ってくる。自分にブラスバンド部の指揮をやって欲しい、と。
優柔不断な自分の性格は、今も変わらない。
たぶん引き受けたのは、左右から懇願されたからに違いない。
その高校、野球部には夏しか存在しない。しかも彼らに、栄光など無縁であった。
センバツなど論外だが自分の知る限り、2回戦に出たことがない。
だが野球部員が、日の暮れるまで練習していた事実を知っている。
しかしながら甲子園常連校の野球部員は同じ頃、日が暮れても練習していたようだ。
バスに乗り、2時間ほどで球場に着いた。
詳しい理由は知らないが、県大会では応援の鳴り物もチェンジの時だけである。
順序など忘れた。「校歌」「若い力」「マーチメドレー」「アニメメドレー」…
もちろん、全曲など演奏できない。あっさり、二桁をもぎ取られる。
実にあっけない。県大会のコールド規定は、5回である。
例年通りだ。野球部員、悔しさも見えなかった。
帰りのバス、誰も野球を話題に選ばない。
実に賑やかであった。騒いで、菓子をばりぼり。結局、遠足であった。
今回、女性野球部員が話題になった。規定のもと、気の毒に思う。
少なくとも自分より、運動能力に長けるはずだ。
凄まじい練習量だったであろうこと、想像に容易である。
受容した両親、監督や部員たちの寛大さ。年のせいか涙腺が緩くなってきた。
知人に選手宣誓をされた方がいる。都市銀行で活躍されたのち、違う道を選ばれた。
一昨年の夏、激闘を繰り返した二人の投手が今、活躍している。
一人は進学。もう一人は、いきなりプロ野球で活躍だ。
頑張る姿が美しいのは、いずれも同じ。
華やかな取扱商品、社内で責任ある立場の方の、奥さんと話したことがある。
年収が1千万円を超えても、教育費に消えるから自宅を売却するそうだ。
他県の甲子園常連校野球部員であるご子息、学費だけではないらしい。
言われてみると、当然だ。練習や宿泊などの経費は、寄付金で賄われる。
野球だけではない。すべての人間、今日あるのが自分だけの力ではないのだ。
「一将功成りて万骨枯る」という言葉を、思い出した。
華やかな活躍も相当の数、他人の人生を踏み台にしてきたのである。
自宅からそう遠くない空の下、連続ドラマが一つ、終わった。
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2008年03月20日
書店
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No.00055
先日、書店に入った。
知人の見舞いに持参する目的で、パソコン雑誌を2冊ほど見繕う。
若い彼、入院生活も退屈であろうこと、想像に容易である。
前回の見舞いで、ナースステーションに顔を出してみた。
尋ねてみる。入院患者がノートパソコンで、インターネットをしてもいいの、か。
ナースに得た了解を援用し、彼にネットサーフィンを勧める。
ネットゲームをして欲しいわけでは、ない。
小型ゲーム機で間を持たすくらいなら、見聞を広めて欲しかった。
前回まで小説を、持参。今日は、勧めた話の次段である。興味を持てば、それでよし。
1万円札を出した。裕福なのではなく、それ一枚しかなかったことは人に言えない。
「大きい方から、」と出された札(束ではないが、念のため)を財布に入れる。
その間、小銭を持った手を突き出された。
残念ながら、親が2本しか手を付けてくれなかった。
急かされた思いで、小銭を受け取る。
自分はレシートを極力、受領しない。旨を告げる。
男って、そんなもの。後で確認したって、次はいつ来るやら。生きているやら。
「分かりましたァ。袋の中に入れときますね〜。」
「見舞いに持って行きたいので、入れなくて結構です。
不要なので、処分しておいてください。」
主婦の財布が立体的なことが、ようやく理解できた。
札と小銭を、可及的速やかに収納しなければレジが支える。
男って、そんなもの。札と小銭、分けて入れている。
分けるほど持っている訳でもないくせに。
そら、見たことか。店員は、バッグから小銭入れを出している最中の自分に、
商品を突き出す。こちとら、まだ小銭をしまう最中でぇ。
思い出した、このお嬢さんだ。2週間ほど前に文庫本を3冊、買った時だ。
何も聞かず、袋に入れようとした店員は…
文庫本の購入時、たいていがカバーの必要性を問われる。
「カバーを付けて、袋に入れていただけますか。」と言った時、
次は、袋に入れず手渡そう、とするので丁重に再願してしまった。
今日も、小銭を直している最中、目の前に商品をずっと突き出したまま。
態度が悪い訳でもない。むしろ笑顔は友好的でさえ、ある。
経営者は、親は、教育を怠ったのか。
推測するに悪気など、毛頭ないのであろう。
余計に始末が悪いのだ。
この類、コンビニ店員の対応などで頻繁に聞くクレームだ。
コンビニでは、かなり具体的な教育が行われるらしい。
それでも後を絶たない。
書店とコンビニで例に挙げたが、接客業なら大同小異。
人間性の相違は、仕方がないものなのか。
痒い所に手が届くような気遣い、恐れ入る。
健気なお兄さん、アルバイトなんだろう。
そんな店員に、レジ横の衝動買いコーナーを一つ、勧められる。
「じゃ、それも。」…コンビニの手口に、はめられた。まァ、いっか。
「要るか、そんな物。早よせんかい、ボケ。」とか、決して言わないのである。
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2008年02月17日
ごち!
昨夜、近所の友人宅を訪問しようと玄関に向かった時である。携帯電話が鳴った。ディスプレイを見ると、今から行くノンアポの友人からではないか。「久しぶりに顔を見たくなって。」と言う友人だが、俺にご馳走するため言葉を選んだ、に違いない。すぐ近くに住む飲み友達が男女、一人ずつ存在する。二人とも10歳以上、年上だ。どうやら昔から年長者との交流が多い、ような気がする。彼は、独身だ。自分と同様、身の回りのことを厭わない。中でも料理は、お互い大した神経をすり減らさず行える。生きることが不器用な二人、違いは彼が定職に就いていることか。
自分は物をもらうこと、大好きである。要らない物でも「あげる。」と言われれば、戴くことにしている。相手は自分に「あげたい。」と思ってくれている。喜んで戴き、それの必要な方に再譲渡すればいい。「あげる。」と言われた瞬間、それを喜んで受け取る方を探すため、頭を駆け巡る。それが楽しい、のかも知れない。かつて相当数の物を戴いた。他人の不幸、を含めて。
菓子パンが大量に入手。自分は米が好きである。ベーカリーレストラン以外で、パンを食卓に並べることは稀である。数日、生きていけるための分を残して袋に詰める。その袋を片手に玄関に立った刹那、携帯電話が鳴った。
少し前から菓子パンやサンドイッチが、大量入荷することがある。何度か今回のように、その友人に届けた。仕事を終え、帰宅途中に誘ってくれた電話だった。
友人は自分を、馴染みのスナックに連れて行ってくれた。早い時間は料理を出している。お互い、年齢からか少食であった。軽く食べているうち、客が増えていく。小料理屋がスナックに変わる。
この店は、カラオケの点数表示がされる。予め設定した数字が、貼り出されている。その中の数字どれかを、歌ったあとで得点すると菓子やインスタント食品の景品が取得できるシステムだ。当然、歌の上手下手が客に混在する。高得点より命中に、客は一喜一憂する。よく考えたシステムではないか。ただ高得点域に多数、設定数字が存在するのは仕方がなかろう。
歌うことが好きな自分は、新しい流行り歌以外のレパートリーが広い。目上が懐かしむ歌を心得ているつもりだ。久方ぶりの、愉快な時間が過ぎる。
予約しておいた代行運転で、家の横まで送ってくれた友人に感謝。食べ切れなかった菓子パンのいくばくか、は財布さえ携えない自分に土産まで持たせてくれた。カラオケの点数、満点は出せなかったけど。
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植物的生活
車で計画性のない旅行をしてきたのは、去年の今頃。岡山県で備前長船の刀剣を見てきた。いろんな刀剣が展示してある。
男って、あんなものが好きだったりする。先日、読み終えた山本周五郎の長編、「風雲海南記」に日本とヨーロッパの、剣に対する考え方のくだりがある。
主観を否めないが、生きることで愛を全うすることを考える欧米と、死を以って全うする封建時代の日本の違いなんだろう。痛い切腹なんかしなくても、楽に死ねばいいのに。
深夜に、異色の映画を放映していた。それが終わる午前4時頃まで、録画もせず見ていた自分もいい面の皮である。
見たのも途中からなのだが、酒屋の娘が望まざる結婚をさせられる話であった。今を売れている俳優たちが、その世界に引き込ませてくれる。それなりの感動は、睡眠不足を帳消しにしてくれた。
現代でも生まれた家によっては、政略結婚を強いられているのだろう。
朝はボーッと過ごし、昼に食事をした。
ジャガイモ、玉子とパスタを茹でてハムを切り、マヨネーズで和えた。菓子パンと食べていわゆる、いい加減な食事である。
テレビでも見ながらボーッと食べる。天洋食品の餃子でテレビは持ちきりだ。被害にあった方々はお気の毒であるが、我が国は依存性、既に確立してしまっている。
洋蘭に水をやったのは久しぶりである。品種は忘れた。刀剣を買おう、と思わなかった旅行に脈絡もなく衝動買いしたものだ。
こいつも生きているのやら死んでいるのやら。わずかに緑の根を伸ばしてくれているようだから、自分と同じくまだ生きているのだろう。
今、水戸黄門を録画している。見たら上書き消去する訳だが、見始めたら逃したくないから中断を忌む。時代劇など好きなものは、録画して見ることを癖にしている。
朝食しか摂っていないことに今、気が付いた。欲しければ何でも、すぐに作れる。そういう安易さが、かえっていけない。
もしかして今夜、このまま何も食べないのかも知れないし、暴飲暴食するかも。
まったく、生きているのやら死んでいるのやら・・・
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